お決まりの言葉と共に運ばれてきた甘い香りにナルトは顔を綻ばせる。
「ホント幸せそうな顔しちゃって」
「・・・はぁ」
クスクスと笑うサクラと、顔色が芳しくないサスケが満遍の笑みを浮かべてパフェへと手を伸ばしたナルトを見て諸々に呟く。
「サスケェ、美味しいモノを食べる時は幸せ一杯!な気持ちで食べないと幸せが逃げちまうってばよぉ」
「無理矢理苦手な物に付き合わされてるこっちの身にもなってみろウスラトンカチ」
ホクホクと湯気の立つ緑茶を口に運びながら心底疲れた顔付きで言うサスケにナルトは苦笑する。
「あら、心外だわサスケ君。折角早く任務も終わったから三人でお茶しましょうって話しになって、偶にはいいかってサスケ君も承諾してくれたじゃない、ついでに場所も任せるって。なのに無理矢理って・・・っ。そしてこの暑い中、甘い物どころか甘い匂いさえにも苦手な貴方を思って冷房を聞いてる室内じゃなくて室外を選んで私もナルトも食べてるってのに。おまけに目の前には湯気の立つお茶、見てるこっちが暑くなっちゃうもの頼んでくれちゃって。あーあ、サスケ君には私たちの思いやりってもの通じないのね・・・」
竹でできた長椅子に簡易なテーブル、そこに腰掛けた三人は番傘の下で休息を取っていた。サクラの手には緑、白、ピンクが並んだ串団子が三本、ナルトの手元にはヒンヤリとしたアイスが中心のパフェが握られている。サスケの手元には言わずもがな、甘味処と称するこの場所では頼めるものとしたら緑茶しか無かった訳だが。
サクラの言葉にグッと口を慎んだサスケを見て流石だなぁとナルトは思った。基本的に昔から三人の中で姉であり妹的存在であったサクラにはサスケもナルトも敵わないのだ。ナルトに至っては口で勝てた試しが無い。
「あ、このアイス味変わってるってば。おいしーい」
「あらホント?」
よよよ・・・と泣き真似をしていたサクラがナルトの言葉に首を傾げると、ナルトはニッコリと笑ってスプーンにアイスを取りサクラの口に運ぶ。ふわりとした冷たい感触が口の中に広がる。甘いのにさっぱりとした風味にサクラも同じように美味しいと呟くとナルトはサスケに視線を向ける。
ナルトの視線に気づいたサスケは一瞬迷いを見せた後、ふわりとした雰囲気で断りの言葉を述べた。
「ここのアイスさ、あんまり甘く無いのもあるから今度食べてみるといいってばよ」
サスケの言葉にナルトは微笑むと、サスケは無言で頷いた。
ナルトにとってサスケは兄であり弟で、サクラは姉であり妹。
サスケ、サクラに至っても同じような関係で。
仲良し三人組ラブ、なお話しでした。