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NARUTO大好きナルマニによる妄想吐きだめ処。とりあえずサスナルやらいのナルやら好き勝手やってます
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ユナ
自己紹介:
なるちょに常日頃から悶々してるただの腐女子。なるちょがいれば回りに花が飛びます。
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 妙な雑音を聴覚に拾いながらその後聞こえるであろう声にナルトは耳を澄ませる。数メートル離れた先にはサスケとサクラの姿が垣間見え、どちらも自分と同じように緊張が伺えた。
「ナルト、サクラ、サスケ。準備はいいか?」
 ジジッとした音に続いて聞こえたカカシの声に三者相応の受け答えをするとガサリと目の先の草むらが揺れた。神経を研ぎ澄ませて一点集中とばかりにその場所へ集中を絞る。自分と地点に絞られた感覚は何をも敏感にさせて息を呑む音さえ脳天に響くようだ。カカシの合図と共に飛び出すこの戦法は慣れたものだというのに、この感覚は一向に慣れる様子も無い。
「では、行くぞっ!」
 カカシの語尾と同時に動き出した三体の影はその中心に向かって一斉に飛び出すと尚いっそうの草揺れが生じる。だが下忍とて忍者の端くれ、超越した身体能力は忍として下層にいるとしても動物体としての能力は上層に位置する彼等に一寸の隙さえ与えられない。そう、それが人間というよりも理論的に下層な動物体なら尚―――。

 


***

 


「だーーーっ!暴れんなっての!!」
「ナルト、逃がすんじゃないわよ」
 フギャーと毛を逆立てる茶色いネコを抱くナルトの手には赤い傷が無数につき、滴る血は既に凝固し始めているものさえある。サクラの怒号にナルトは身を竦ませる暇も無くネコ相手に苦戦を強いられているナルトを横目にサスケとカカシは見るばかりだ。
 一月に数回はある。といった具合に恒例となったマダムのトラ捕獲任務を遂行した七班の面子は任務報告へとアカデミーへの道を急いでいた。捕獲した後になってケージ持ってくんの忘れちゃったよというカカシのにへらとした言葉に空白の間があれど、瞬く間に復活した―――というかこのような事態に免疫がつき始めているサクラに絶対逃がすなお前が持ち帰れ!とナルトが命令されたのはそう前な時間ではない。ナルトがカカシとサスケに視線を傾けても意図的と言っていいほど逸らされる目に儚さを感じたのが今でも感情の頂点へと舞い降りているのだ。
「あーもー!なんで忘れるんだってばよ。カカシ先生のばか!」
「あれー?ナルト君そんなこと先生に対して言っちゃあいけないなー」
「ユウガイトショ読みながら歩いているせんせーとやらに何注意されてもそんなキョウクン屁にも糞にも及びませんってばよ!」
「あらら。お前がそんな有害図書なんて言葉を知ってた方が先生驚きよ」
「オレをナメんじゃねぇ‥‥っ痛てぇってのこの馬鹿ネコ!」
 再びネコとの攻防を始めてしまったナルトには卑屈という二文字は存在しないことに気づいたのは今に始まったことではないが、有害図書はともかく教訓ばかりは漢字変換しろとカカシは思う。それに一応依頼主のネコなのだから馬鹿ネコというのは如何なものかなと思っても口に出さないのは自分も思ってないことは無いからである。
「いいからさっさと歩け、ウスラトンカチ」
「な!?だったらてめぇが連れてきやがれってんだ」
「んなもんお前みたいなドベがやるのが丁度いいんだよ」
「てめぇ一旦面貸せや」
 修行になるじゃねーか。聞き捨てならぬ羅列とはこのことか。体内から一向に逃げ出すことの無い、というかさらに積もる憤りにナルトは一瞬手の内のことを忘れて放り出すという行動はサクラの鉄鎚により阻止されたのだが、巡り吃った怒りの矛先は一体どこに向ければいいのか、とナルトは思う。
 自分は大人だ大人だ。と言い聞かせて治まる憤りは本当に僅かで、あまり変わらぬことによる怒りがプラスされて、所詮プラマイゼロといったところ。あーあーと声を出して見ても当たり前に何も変わらず一方通行。
「ちぇっ‥」
 アカデミーへと続くあぜ道に転がる小石を立ち止まりサンダルのつま先で蹴ればコツリと音を立てた。一メートルにも満たないその飛行距離はまるで己の惨めさを縮小されているようで。触ってもいないのに冷たいのだろうと感じさせられたような気がした。
「へたくそ」
「‥は?」
 いきなりかけられた声にナルトはひょうたんな声を上げる。ナルトの後ろを一歩引いて歩くサスケがいつの間にか隣に着ていたことにナルトは瞠目し、そんなナルトを尻目にサスケは転がる小石を適当に選別するとそれ軽く蹴った。直線的に転がる小石は数メートル先で静止し、でも存在感が強かった。
「斜めに蹴れば飛ぶわけねーだろ」
 軽くでも、まっすぐ蹴ればこんだけは飛ぶんだよ。
 唖然とするナルトから首部分を掴みあげて大人しくさせたネコを腕に持つと、サスケは颯爽と歩み始める。腕の中から消えたぬくもりと重みは確かなものだから何で?などと聞きたくも聞けなかったのだ。
「いいとこ取られちゃったわね」
「‥サクラちゃん?」
 フフッと笑う少女の笑顔がなんだが嬉しそうでなにやら不思議な気分だ、とナルトは思った。だって先程までの怒りがすっかり消えているのだ。それに言葉は悔しがってもいい筈なのに悔しがる様子も見せないサクラにも違和感を感じる。
「ったく。サスケも隅置けないねー」
 ニッコリと、いつもと同じように笑いながら語りかけるようで語りかけていないカカシの言葉に反応したサスケが振り向き際にうるせーと呟いたのが聞こえた。夕日で表情までは見えなかったけれど怒っていたのだろうか、と思った。
 置いてくわよ。とサクラに軽く押された背中は歩みを進めふわりとした気持ちを湧き上がらせた。それはいつも感じているような何とも言えない感情で、ともかく―――大好き。そういった類。
「っ‥このオレを置いてくなってばよ!」
 ふわりふわり。そんな感情をサンダルのつま先に乗せて蹴った小石は直線的。

 

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 ふわりとかすめる金木犀。

「姉ちゃん!これってばだいじょーぶ?」
「はい。あとそっちも大丈夫ですよ」
 一面に広がる草々が自分には全て同じように見えるのにどうやって見分けているのだろうとナルトが疑問に思う中、隣で花を摘むように薬草をとる黒髪の少年は微笑んでいた。ピチチと鳥のさえずりが耳に届き、一緒になって薬草を啄ばむ姿はナルトにも微笑を与える。
「お前も一緒に手伝うってばよ!」
 右手を誘うように鳥へと向けて呼び寄せようとするナルトに当然無視を決め込む忙しない鳥。逃げることをしないだけ十分だというのに、一向に自分の下に来ない事に不満を感じるナルトはしかめっ面だ。
「ふふっ。君が手伝ってくれるだけで十分ですよ」
「む~…。‥そう、かな?」
 柔らかに笑う白をちらりと上目遣いで垣間見て妙に納得せざるを得ない。何がそんなに楽しいのだろうかと思うことなど愚問、それが彼にとって普通に存在する一部なのだと判ってしまう。本当に優しい人なのだろうとナルトは実感するのだ。それは寝ていたところを起こしてくれた時から感じていたものではあるけれど。
「でもさ、でもさ。こんなに沢山の薬草何に使うんだってば?」
「…万が一の時の為に保存しておきたいと思いまして」
 使うのはほんの一部ですよ。そんな言葉に素直な少年は一時の間に気づく事無く納得してしまったわけだが、別に偽りがある説明でもないわけで当然といえば当然。だがこの言葉は後になってあの時全部使われたんだなと思うだけでそれっきりだ。
「‥君には、大切な人がいますか?」
「へ?」
 突然の問いにナルトは瞠目を返すだけだった。この薬草は違うっぽいけどいいか、などど考えていた矢先に聞かれた問いはナルトの小さな掌から草を落とすことに成功したわけで、その先も続いて話す様子も無い空間にナルトは首を傾げるのだ。いつもと同じではないと判ってはいても次にどんな内容がくるのかと思うと自然と身体に力が入ってしまう。幼き頃からの習性故か。

「‥人は…大切な何かを守りたいと思ったときに」
「本当に強くなれるものなんです」

 重い、と思った。そしてそれと同時にすとんと心の奥底に落ちてきたこの言葉がナルトの脳裏に焼きついた様々な思いを蘇らせる。おそらく、この間忍者になることが叶わなかったら一生理解できないことなのだろうと、思った。だから素直に分かってる。と言葉を返せた。
 

 あの時の事は今でも鮮明に思い出すことができるのはそれほど色んな意味で衝撃的だったから。白という少年が死しても尚男を守りたかった気持ちが今では痛いほど分かる。貫かれた身体を目にしたときに分からなかったわけではないのに今ではもっと分かる。それが自分が成長したからだ、などど安直になど言えやしない。
 こんな間抜けな自分を見てくれてるんだろうなぁと考えるだけで失礼に当たりそうなこんな状況なのに、この選択を間違っているなどとは到底思えない。守りたいなどといっても人によって様々な形があるのが当たり前で、自分が守りたいと思える対象は不特定多数であれどそれを貫き通すだけの意思はある。だからこの地位に着いたのだ。むしろ彼の言葉が自分をここまで成長させてくれたといっても過言ではない。
 コンコン―――
 室内に響いたリズムにナルトは外に向けていた視線を扉へと移し変える。まっずいなぁと冷や汗を感じるのは全然進んでいない目の前の書類を見て今から入ってくるであろう人物にどんなお仕置きをくらうのだろうかとか、一楽ラーメン禁止令なんて二度と御免だ、とか考えるわけで。

「失礼します。火影様―――」

 今日も、平和日和。

「うっめぇ!!やっぱ一楽のラーメンは世界で‥いや、宇宙で一番だってばよっ!!!」
「お、ナルト!嬉しいこといってくれるじゃねぇか」
 人々が帰途に着き始めたかというくらいの時刻、一角のラーメン屋から響いてきた声に街行く人々は苦笑を禁じえない。それはこの道を数度行くものなら必ずや見ることができると言っても過言ではない幾度と無く見た、又は聞いた光景に嗚呼またか、と思わざるを得ないのだ。
 そして同じように思った者がまた一人。
「ったく。お前の声はどうしてこんなにも遠くまできこえるのかねぇ‥」
「ん‥ふぁふぁしふぇんふぇー」
「飲み込んでから喋りなさいね」
 冷たい風が揺らす小さな暖簾を潜り現れたカカシの姿にナルトの口から麺のかけらがぽつりと飛ぶ。一気に大量の麺を口に含むから駄目なのよ、とスリーマンセル時代に桃色の少女から注意されたことはスッカラカンに抜け落ちていると思われる目の前の若造はカカシと同じ上忍となった今でも相変わらずカカシのことを先生と呼ぶ。何故?と一度だけ聞いたこともあるのだが、先生はオレの先生に代わりはないってばよと、今と同じようにラーメンを口に含みかけらを飛ばしながらニカリと笑ったのは鮮明にカカシの脳裏に焼きついている。
「にしてもお前は変わらないな」
 ラーメンが好きなことも一楽なことも。
「そりゃ遺伝子は早々変わるもんじゃないですから」
 好き嫌いは遺伝的なものもある。と皺の少ないと思われるナルトの脳から導き出た答えにカカシは少しばかりの驚きを覚える。でも直ぐその後にきっとコレは桃色からの受け売りだろうと確信できたのは彼女が遺伝子のことをついこの間話していたからに他ならない。そうじゃなければずるずるとラーメンを食べ続けるだけのナルトはもっと得意げにカタカナ交じりの語彙で言ってくるに決まってる。
「だからきっとさ、オレの両親ってやつもラーメン好きだったと思うわけですよ。じゃなければオレがこんなラーメン好きにはならねぇってばよ」
 確かに。とは口には出せない。
 カカシの師、四代目火影である波風ミナトは事あるごとにラーメンを奢ってくれていた。それも此処、一楽のだ。これも以前何故此処なのかと質問したことがあって、帰ってきた答えは自分が好きだから。好きなんだから仕方ないじゃないか。と笑って言われたものだった。
 だからこんな時‥似てるなぁと思う。
「‥も‥‥じゃ‥きゃ‥‥ねぇってばよ」
「ん?」
「んーん。なんでもねぇ」
 ずずずっと軽快な音を立ててスープを飲み干す完璧っぷりはたぶん一生真似できないなとカカシは思うのだ。普通美味しいと言えど最後までスープをこの短時間で飲むことなど出来ない。というより長時間あっても飲み切れない。なのに飲み干す、それも横に重ね置いてあるどんぶりの数を見れば胃がキリキリと、音を立てそうだ。
「んじゃ!オレってはこの後サスケ達と飲む約束してっから」
 身軽に立ち上がると嫌で聞きたくないと思っていた、先生のおごりねという呟きを耳にして軽快に走っていたナルトの胃袋は一体どうなっているのかと思う。こんだけのラーメン食った後にアルコールなど。空きっ腹になんとかやらなどはよく言われる文句だが、その反対は如何なものだろう。
「‥ホント。恐れ入るね、アイツには」
 それは何に対してなのか。ふぅ‥と一つ溜め息をついてカカシは割り箸でカツーンとどんぶりの山を鳴らした。

『貰った名でも、本当に好きじゃなきゃ付けねぇってばよ』

 ホント恐れ入りますよ、先生の息子サマには、ね。
 ほんのり冷たい空気に活気出す味噌ラーメンの湯気に、オレがどんなラーメンを好きでもカカシの先生にはかわりないからね。と悪びれることなく自信満々に言い放った恩師の姿を思い浮かべたのだった。

 自分のナルトへの執着は誰よりも自覚してるつもりはあるし、心が狭いこともまた然り。ナルトが他者と話しているとふつふつとしたものがこみ上げてくることから始まり、終いにはその場からナルトを連れ出して腕の中へと閉じ込める。周囲はこんなサスケの異常なる嫉妬心を理解せざるを得なくなり、お手上げ触らぬ神に崇りなしとばかりにナルトを明け渡すのだ。いつもはこんなに自分の方が悔しさと劣等感を感じるというのに。

「もっと‥」

 二人になれば貪食なまでに何かを求めるナルトの姿を誰が想像したものか。皆の前でのナルトは身を潜めサスケを求め欲望を満たそうとするナルトはいつに無く嬌艶で、サスケもそれに誘われる。それは性欲というものを満たすだけではなく何に関しても求める姿は貪欲で傲慢。まるで一度手に入れたものは決して離さないとばかりに伸ばされるナルトの腕は酷く、冷たい。決して体温が低いわけではないのに、冷たく感じるのだ。
 最初は自分と同じなのかと思った。共愛に満ちた故の行動かと思った。だが、それを何回も回数を重ねるだけ自分とは違うのだと実感させられて、酷く落ち込んだ記憶も新しい。悔しくて、悔しくて、乱暴にナルトを抱いた。嫌だという身体を無理矢理押さえつけて声さえも押し留めた。そんな後に聞きたくて聞きたかった事を聞いたのだ。何故こんなにまで求めるものが違う、と。

『愛が欲しい』

 一体何を求めているのか、愛してるからこそ応えてやりたいという我儘さえ、この一言に砕け散った。否、応えられるわけが無かったのだ。ナルトが望むのは愛で自分の愛ではない。そしてこの時初めて気づいたナルトの異常に気づいた。そして悲しかった。愛を与えられなかった少年は愛を求めて生きてきた。そのことに気づかされたこの時何故だか涙が出た。誰かの愛を求めるのではなく愛を求めるのはより多くの愛を欲するため。同情からきた涙なのか裏切られたことに対する涙なのか判らない。だが悲しかったのは、真実。

「足り ないってば‥」

 サスケの身体に絡めてくる白い細身の足は離さないとばかりに巻きついていてもっとと訴えてくる。シュッと生暖かい場に似合わぬ音がしたと思ったら背中に熱を感じた。
 本当に貪欲だ と思う
 己の身体だけでは物足りず二重の快感を得ようとしている目の前の男は薄く笑みを浮かべる。全てを悟りきったその瞳に臆する事も多く何度も離れようと思った。だが離れられなかった。それは愛してるから離れられないのか、それとも。

「サスケも」
「一緒に‥」

 否 答えは最初から一つだったのだ。目の前で艶やかな笑みを浮かべる金色も、背中に熱い吐息を当てる金色も、元は全て一つなのと同じで。離れられないのは自分も同じものをナルトに求めている。愛を求めている。だから離れられないし皆の前でも離したくない。同じだから惹かれた。おそらくそれはナルトも同じ。必要なのは言葉ではなくて言葉なきもの。行動でどうにか示せるか示せないものでそれを相手に全て与えるのは難しい。でもそれでも行動せずにはいられないのだ。だって欲しいものは求めないと手に入らない。だからいつまでもこのぬるま湯に浸かっている。

 それは単純なまでの愛の形

 懐かしいと思える反面それと同時に思い出される他の想いがなんだか辛かった。
 小さいころから付けていたソレは種々の感情を紛らわす為だったのかもしれない。でもそれでも隠し切れないときは隠し切れなかった。ソレと共に辛苦を乗り越えてきた期間はそうそう短いものではなくて、おそらく生を受けてからの大半はそれと同じくして生きてきたのだろう。
「ボロボロだってばね」
 薄汚れた生地を手に痛んだ箇所を指でなぞれば零れ落ちる破片が軋んだ床へと広がる。
 物は使わなければ廃れてしまうというのは本当らしく、今この手の中にあるものがそれを証明していたから。此処暫く使ってなかったソレは懐かしさと共に様々なものが零れ落ちた。
 でも―――
「‥ありがとう」
 もう 使う必要もない
 そう思える今だからこそ、素直に感謝の言葉を述べることができた。今はもう共にできる仲間がいる。一人で抱え込む必要もないということを気づかされたから。

 だから ありがとう‥

 隣にある写真と共に歩んでいこう

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